得意に集中することで早く上達できる,ひとつを詳しく知ることで他の道にも通じることができる

株・為替のテクニカル分析の世界でよく言われていることです。チャートパターンからの攻め方は多種多様にありますが、全てを知る必要は無く、得意なテクニカル分析法(MA,MACD・・・),得意なパターン(順張り,逆張り・・・)に集中して覚えることで、効率的に勝てるチャンスを見つけることができるようになります。多々あるチャンスを逃すことも多いでしょう。しかし、確実に勝率を上げることができるようになります。そして、その手段について深く知ることで、チャートに関する他のことについての理解も広がることになります。

関連する話① 二上達也九段の「好きな駒作り将棋上達法」
1)どんな駒でもよい。歩から飛車まで8種類の駒(玉を除く)のうち一つだけ自分の好きな駒を作る。
2)決めたら、ひたすらその駒が活躍する戦法、その駒についての手筋、その駒を使った詰将棋、寄せの攻防などを意識的に追い求め、覚える。
☆こうすることによって、自然に得意戦法が身につくと同時に、決してどこかの本のモノマネではない自分自身の個性ある将棋が芽生え発展していく。そして、この”個性”こそが、後に昇段していく上での「実力」となるのである。

関連する話②
作家の吉行淳之介氏に、政治と文学の関係で作家が選ぶべきテーマについて、手法と文体の関連について質問したときの回答。
「ここに大きな石が一つあるとすると、その一カ所をハンマーか何かでコツコツコツ・・・と根気よくたたき続けるんだ。ほかのところをたたいちゃいけない。一カ所だけをコツコツ、コツコツ、とやってるとね、しだいに大石にひびが入って、最後に全体がパッと割れてくるんだ。政治的な題材のえがき方というのは、ボクにはそんなことのように思えるよ」

関連する話③ 升田幸三元名人著書より
一道に秀でてくると、ほかの分野のことも理解するレベルが上がってきます。たとえば絵で、ある境地に達した人、ないしは書家、大工、そのほかなんでもいい、とにかく秀でた人は、専門以外のことでも、直感でわかってくるようになる。それについて、興味深い話があります。一道に秀でたとかいう人じゃなく、むしろその逆なんですが、、
あるところに精薄の息子さんがいた。小学校はでたが、中学では先生がみな断るというほどでしたから、それも相当にひどかったらしい。その子に、だれかが将棋を教えた。覚えるかなと初めは疑問に思ったが、それが不思議に覚えた。覚えただけでなしに、どんどん強くなってきた。すると不思議なことに、英語ができるようになってきたし、数学もできるというふうで、学校のほうが、できるようになってきた。一人前というわけにはゆかないが、とにかく精薄とはとても見えないくらいに伸びてきた。学校の先生がサジを投げた子とは、とても思えない。それほどにほかのところものびてきた。一つが発達してくると、やはり他の分野の能力ものびてくると。