実践に勝る勉強法は無い,熱くなれる戦いに身を投じることが大切

教科書をいっぱい読んだだけでは、なかなか身につきません。自分で実践するのが一番効果的だと思います。例えば、水泳の本を山ほど読んでも上手に泳げませんよね。プールに入ってじたばたしてみないとわからないものでしょう。

私は社外の技術者に「品質工学」という技術開発の技法を教育することがありますが、座学だけではなかなか次に進んでもらえません。なるべく実践に近い環境をということで、紙コプターとかコマ対戦とか、みんなが共通して取り組めるダミーの事例で実践してもらうといったこともやります。実際に体を通すことで、実践し易くなっているとは思います。少なくともグラフを描けるまでの計算についてはできるはず。。
しかし、それでもまだ自分の業務で活用するほどにはなってもらえません。やはり自分の仕事のテーマについて議論したほうが良いです。本を読んだり講習会で聞いたりして「あぁ基本機能ってそういうもか」と分かったような感じになっても、いざ自分の仕事でやろうとすると、急に分からなくなってしまうのです。個人的には、最初から個々の(実務の)テーマで議論を始めるほうが効率的だと思っています。検討に対する身の入り方も違ってくるでしょう。

FXにおいても、まずはデモで実践することが推奨されていますが、デモはやっぱりデモ,負けてもそれほど悔しくない(かもしれません)ので、身につくのが遅いような気がします。やはり実践で実際のお金を損して、髪の毛が逆立つくらい悔しくなる,といった体験がないと、勝つための取り組み方に力が入らないのではないでしょうか。

奥山紅樹氏が中原誠名人に上達法を尋ねたところ
「相手を選ばず、誰とでも熱っぽく対局することですね」
時を変えて同じ質問をしたときにも
「相手を選ばず・・・」同じ答え,
4回質問して4回とも同じ回答だったとのことです。
中原名人には上達法のメカニズムについて確固とした考えがあると感じたとのこと。
中原名人の説く上達法を以下に整理します。
1)対局に相手を選ぶな。自分より弱い人、強い人、かまわずに勝負をいどめ。どのような相手にたいしても、あなどったりおそれたりせず、虚心に、しかも熱っぽく対戦せよ。
2)自分より弱い人と指せば力が落ちる-などというのはあたっていない。相手が弱ければ、ぎりぎりいっぱいの手合いで、きつい勝負をいどめ。どのような一局も軽く見ず、熱心に対局せよ。
3)好敵手が多ければ多いほど、上達のプラスになる。対局数が多ければ多いほど腕が上がる。熱心に指す者の頭に、必ず上達の「神」が宿る・・・熱っぽさこそが全ての基本である。