私が高校生くらいのころ勝負哲学の本が結構好きで、当時の人生哲学・発言の原点となる本が何冊かありますが、そのひとつが「人間における勝負の研究」です。初版が昭和57年6月と古い本ではありますが、そこで書かれた勝負哲学、とくに勝利の女神に好かれるための考え方は、現在では棋界の常識のごとくなっています。勝利の女神に好かれるには の項にも紹介した勝負哲学,確率・勢い・運の考えかたは、仕事や人生における決断や勝負所での判断に対して多くの影響を与えてくれました。私のHPでもきっと登場回数が一番多い引用文献になると思います。
米長邦雄さんについて簡単に補足すると、将棋の棋士で、今はもう亡くなられていますが、昭和の後半から平成にかけて活躍された棋士です。タイトル獲得も複数あるトッププロの一人ですが、著書に示す勝負哲学が独特でも的を射ており、次の世代に育った若手棋士の勝負に対する考え方の根底に根付いたような印象があります。晩年はAI将棋ソフト「ボナンザ」と対局して、高段者・タイトル経験者として初のコンピューターソフトに対する敗者になってしまいましたが、新時代に前向きに対応した姿勢は見習うべきところです。圧巻は50歳にして初の名人位(将棋界の歴史ある最高峰のタイトル)を獲得したことで、40代50代のファンに勇気と希望を与えたことが記憶に残ります。
上記以外の本では、「カンが<読み>を超える」「人生一手の違い」も参考になる部分が多く、何度か読み返しています。「泥沼流人生相談」というのもありましたね。発想が斬新で、ちょっとついていけないかもしれません。その後、名人位を獲得されたときに「運を育てる」「人生、惚れてこそ」「勝負の極北」などが出版されています(もちろん全て持っています)が、個人的には「人間における勝負の研究」が一番参考になっています。