今日は調子が悪そうだ,立て続けに負けてしまって少し自信をなくしている。そんなタイミングがあると思います。そんなとき、どう対処すればよいでしょうか?
映画「ちはやふる・下の句」で、A級戦でなかなか勝てない真島太一(ましまたいち)は綿谷新(わたやあらた)に電話で聞きます。「待っている札がなかなか来なかったり、流れが悪いなと思ったとき、どうすればいい?」それに対して新は「イメージするんや、これまでカルタをしていて一番楽しかった時のことを思いだすんや」と答えます。次のA級戦、太一は流れが悪いと思ったそのとき、待ち時間をもらい、立ち上がってひと呼吸し、カルタが楽しかったときのことを思い出します。そして結果は・・・見事優勝したのでした。
「人間における勝負の研究」より
負けがこむような時は、どこか調子が狂っていることが多いのですから、気分転換というか、頭の中を一度ゼロにし、空白にしたほうが、かえっていいものです。だから、私は負けてくると、やたら遊びほうけます。そして、それが一番いい薬だと思っています。勝っている時には、その波を長く持続させとうと思って、大切に大切にいくのです。(中略)
どうしたらカンの狂いが直るか。一番いい手当ては、自分のベストの状態の感覚を自分に思い起こさせるというか、自分の目にそういうものを見させてやることです。具体的には、勝った将棋を並べる。それも強い棋士と戦って勝った将棋だけを、次から次へとたくさん並べるのです。一番大切なのは、将棋とはどういうものか、勝負とは何か、という感覚を正しく呼び戻すことなのですから。
大山康晴は、スランプの対策としては「生活の仕組みを考え直してみる」と書いています。調子が良いときは自然と生活も緩くなりがちで、楽な精神状態になってしまう。生活の仕組みを考え直すことがスランプの早期改善の近道だとしています。
まとめると、調子が悪いということは、調子が良いときに対して何かがズレており、そこを元(良い状態)に戻してやるということですね。それはカン(潜在意識からくるアウトプット)や勝負感覚であるのですが、私生活の緩みを正すことも基本条件として大切だということです。「負けてきたら遊びほうける」というのは賛同しかねますが、悶々としている状態をリセットするという目的としては良いかもしれません。