<カン>が<読み>を超える「米長勝負論講義」の要約|勘は誤読から生まれる

はじめに

将棋の判断:その局面をみたときの閃き
FXの判断:エントリーしようと思ったときに、危険を感じる
仕事の判断:プロジェクトを進めることで利益が上がりそうか、なんとなくわかる

その場面ごとに、勘(カン)が働いているから
上級者は失敗しないんです。
その、カンに関する本の紹介です。

<カン>が<読み>を超える『米長勝負論講義』
は、将棋界の名棋士
米長邦雄
が語る勝負論の本です。
(正確には、米長邦雄さんと柳瀬尚紀さんとの対談を文章におとしたものです)
彼の著書には、将棋の技術だけでなく
「勝負師の思考」
が数多く語られています。

本書では
「勘は誤読の積み重ねから生まれる」
という印象的な言葉で、
思考力や判断力の本質
が語られています。

この本を紹介しようと思った理由は、
将棋の話でありながら、
仕事・投資・人生の判断にも
そのまま当てはまる内容
が多いからです。


この本で何がわかるか

この本を読むと、次のようなことが見えてきます。

  • 強い人は何で判断しているのか
  • 勘とは何なのか
  • 思考力はどうやって鍛えられるのか
  • 初心者から上級までの道筋

FXでルール通りの場面になった。
ルールに従うなら、エントリーするところ。
初心者は、習ったとおりにエントリー。
そして負ける・・・
こんな経験ありますよね?
その場面、上級者は
「危険」と感じてエントリーしません。
その、危険と感じる部分は、
本には載っていない部分。
「経験を積めばわかるようになるよ」
と言われる部分です。

本書の表現でいえば、
カンで危険を感じるわけです。
その<カン>は、
細かい分析(将棋で言う「読み」)よりも
遙かに速く、正確。

カンの重要性、カンを磨くやり方について
米長さんの考えを対談形式で語られています。

知識だけでは勝てない世界で、
人はどのように考え、
どのように決断しているのか。

それがとても率直に語られています。


勘は誤読の積み重ねから生まれる

本書の目次は、以下の通りですが、
 第一章:天才・誤読・カン
 第二章:盤上のハムレット
 第三章:詰将棋の美学
 第四章:無限の回路
 第五章:逆転の構図
 第六章:棋士道の遊次元

第一章のカンと誤読に関する話しが
最も印象に残りましたので、
以下に詳しく説明していきます。

勘(カン)って聞くと、
霊感・山勘みたいな
テキトーな印象を持っている方も
おられるかもしれませんね。

でも、ここでいう”カン”は、
とても凄い力なんです!

「勘というのは甚だしい力と書く」
これは升田幸三元名人が言われていた言葉ですが、
まさに甚だしい力(すごい力)
なんです。

カンについて説明されている部分を抜粋します。

そして、そのすごい力を身につけるために
なにが必要か?
米長さんの回答は、

誤読の積み重ね
※誤読とは、誤っていても自分なりに一生懸命考える(読む)こと

・考える
・間違える
・修正する

この繰り返しの中で、
だんだん判断が速く、正確になっていく。

それが

なのだそうです。


知識よりも「自分で考える経験」

この本を読んでいて感じたのは、
知識だけでは強くならないということです。

それについて語られている部分を抜粋します。

「タイトルを取る人は
どういう勉強方法をとってるかっていうとね、
まさに”誤読”なんです。

ある局面を読むんですよね。
もっと深く読むんですね。
自分で見る。
見てね、
自分の結論を出すんですね。
自分で考えて結論を出せば、
それが勉強。
唯一の勉強なんですよね。
あとはもう、余計なことなんですね。
”誤読”の繰り返し
によって将棋は強くなる。」

現代は情報が多く、

  • 解説
  • 手法
  • 正解

がすぐに手に入ります。

しかしそれだけでは、
本当の力は身につきません。

米長さんが繰り返し語っているのは

自分で考えること

の大切さです。

考えて、間違えて、修正する。

この経験が
思考力を育てていくのだと思います。

升田幸三元名人は
「にらんでいるだけで将棋は強くなる」
と言った。
同じことを言っていると思います。
一生懸命”誤読”しているとき、
きっと盤面を”にらんで”いるだろうから。

この”誤読”によって
米長さんの言う
「勘」
が成長していくのだと思います。


思考力の鍛え方

この本に習って、
FXを覚えてから勝てるようになるための
取り組み方をイメージしてみました。

まず、
FXをぜんぜんん知らない初心者の状態。
ルールをまず覚えます。
取引の仕方、エントリー枚数など。
その人がどうしたら強くなるか
といったら、
実践することなんですね。
(いきなりリアルは損失が大きいので、デモで)
何でもいいから、
1日の間にできるだけ時間をとって
いっぱいいろんなことを考えて
ひとつの通過ペアだけでなく
いろんな通過ペアをみて
とにかく、取引をやってさえいれば
いちばん早く強くなるんですよ、
覚え立ての人は、
そういう段階なんです。
何でもいいから携わっていればいい。

しばらく経って、
少しわかってくると、
まあ読むっていうことになりますね。
「次にこう動くんじゃないかな?」
とか、
予測がつくようになってくる。
そうなると、
「考える」っていうことになるんですけど
そのくらいの段階から、
ほとんどの人は、
本を買って読むとかして、
手法を覚えます。
・MAやBBなどのインディケーター
・オシレーター
・チャートパターンなどローソク足の形
・水平線やトレンドライン
あるいは
自分よりも上手い人のトレードを見て
勝ったときの形や考え方を吸収していく、
そういう段階です。

この辺ではまだ、
うんと弱いころですが、
チャートを見たときに、
正確にチャートを読めないわけですね。
あるいは読んでも、
間違いだらけっていうことになるわけです。
つまり、”誤読”ですよね。
間違いだらけだけれども、
「自分の考えでは、
チャートはこう動くんじゃないか?
だからエントリーする(あるいは保留する)」
という答えを出すんですね。
それで勉強はおしまいになるんです。
そこで。
そうすると、
間違いだらけなんです。
読んだことはみんな
”誤読”
間違いだらけなんです。
環境認識が狂ってるんですよ、
弱いから。
でも、
自分で考えて結論を出せば、
それが勉強。
唯一の勉強なんです。
あとはもう、余計なことなんです。
そのチャート局面を見て、
「お前の考えは違う。これが正解だよ」
これは余計なことなんです。


私の経験

この話を読んでいたので、
私は
FXの勉強を
自分なりの結論をだすようにしてやってきました。

実際のトレードでは時間がかかるので
バーチャルトレードのVBAプログラムを作って
実践を繰り返しました。

しかし、思ったほど成果が上がりませんでした。

これは失敗談です。

ただ闇雲に誤読するだけでは、
効率が悪かったのです。

・ある程度の知識の吸収は必要
・ルールをひとつ決めてから練習すべき
・上位足との関係も常に意識する
・常に勝ちトレーダーの意見を取り込む

正しい情報を見極め、
取捨選択しながら狭く深くに絞って
そこに集中する。
その状態での
「誤読」
とすべきでした。

なので、
想定よりも多く時間がかかってしまいました。
それでも、
継続して「誤読」の時間を
積み重ねることで
確実に成長することができたのです。


こんな人に読んでほしい

この本は、特に次のような人におすすめです。

判断力を鍛えたい人

仕事でも投資でも、
最後は自分で決める必要があります。

判断力を高めたい人には、
とても参考になる内容です。

FXや投資をしている人

トレードの世界でなかなか結果がでないのは、
いろいろな知識を吸収することに力を使いすぎて
「考える」ことが手薄になっている可能性があります。

チャートを見て、「勘」が働くようになるために、
危険を察知できるようになるためには、
「誤読」は絶対に必要だと思います。

思考力を鍛えたい人

もちろん、囲碁や将棋といった
考えるゲームでの実力を上げるには
もはや必須といえるでしょう。
「急がば自分で考えろ」ですね。


まとめ

<カン>が<読み>を超える『米長勝負論講義』は、
将棋の本でありながら

思考力と判断力の本

でもあります。

この本が教えてくれるのは

勘とは
才能ではなく

「誤読」の積み重ね

だということです。

考えて、間違えて、学ぶ。

その繰り返しの中で、
人は少しずつ判断力を身につけていくのだと思います。

将棋でも、
FXでも、
仕事でも、

大切なのは

自分で考えること

記憶する、いろいろなことを知る、
そういう行為でクリアできる課題もあるでしょう。
でも、それだけで自信過剰になり、
「私は○○大学に受かった頭のいい人間だ」
という自慢だけで満足して、
「考える」力が劣化していることに気づかず、
社会に出て全く成果が上げられていない人を
私はいっぱい見てきました。

考えることの大切さ、
それを教えてくれる良書だと思います。


FAQ

Q.勘は本当に鍛えられる?

A.勘は誤読の積み重ねから生まれます。
あきらめず、継続して練習することで
必ず身につくと思います。

Q.この本は、将棋を知らなくても理解できる?

A.はい。
将棋の技術書ではなく、
思考力や判断力について書かれた本なので、
将棋を知らなくても楽しめます。