「柿が赤くなると医者が青くなる」
私の友人が好きだったことわざ(?)で、昔の人はこの言葉を好まれたようです。
柿にはすごいパワーがあります。ここでは、その威力について紹介します。
生柿(甘柿)と干し柿があります。
甘柿はフルーツとしておいしいのですが、干し柿も意外と人気があります。
なぜ「干し柿」にするのか?その理由と効用について整理してみました。
まず、生柿を干し柿にすることで、どのように栄養素が変わるのかを調べました。
ビタミンCは大きく減ってしまうのですが、それ以外の栄養素が増えます。それによって美肌効果や二日酔い対策に良いようなのです。私はもともと干し柿は好きではなかったのですが、二日酔い対策に効くという理由だけで、酒のツマミに愛用するようになってしまいました。
以下に各栄養素の効果について説明します。
【タンニン】
干し柿といえばタンニン、ですね!高級な赤ワインにも多く含まれるタンニン、これによって二日酔いしにくいのです。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解されるのですが、これが有害物質なんです。タンニンは、このアセトアルデヒドと結び付きやすい性質と排出を促す効果を持っています。結び付いたまま体外へ排出されれば、アセトアルデヒドが体内を巡らず、二日酔いの症状が緩和されます。
タンニンはそれ以外にも、シミやくすみの原因のメラニン色素の増殖を抑える効果があります。つまり美白効果があるのです。毛穴を引き締める効果があるので、お肌を引き締める効果があります。
*** 豆知識 ***
<なぜ干し柿にすると渋い柿が甘くなるのか>
干し柿には、渋柿を使います。渋柿は、タンニンによって渋みを感じるのですが、それを乾燥することで渋いタンニンが無くなるわけではありません。渋柿に含まれるタンニンは水溶性で、それが乾燥することで固溶性になり、舌が渋みを感じなくなることで、甘い成分のみ感じるようになるのです。
<甘柿でも二日酔い防止効果はあるか?>
甘柿を切ると、内部の実の中に黒い斑点があります。これはタンニンが凝縮したものです。渋柿は水溶性タンニンを乾燥することで固溶性にすることで甘みをだすのですが、甘柿は最初からタンニンが固溶性状態なので甘い。しかしタンニンが無いわけではないので、二日酔いに対する効果はあります。
<アルコール分解の仕組み>
体内にアルコールを取り込むと、肝臓は2度の分解処理をしてアルコールを無害化し、体外に排出します。1度目は、アルコール脱水素酵素(ADH)を使って分解処理します。このとき「アセトアルデヒド」という物質が発生します。アセトアルデヒドは、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって、酢酸、二酸化炭素、水に分解されます。二日酔いは分解処理の途中に発生する「アセトアルデヒド」によって起こります。アセトアルデヒドは有害物質です。そして肝臓は、一度にアセトアルデヒドを分解できる量には限度があります。ALDHがアセトアルデヒドの処理能力を越えた場合、アセトアルデヒドは体内に流出します。アセトアルデヒドの血液濃度が高くなると、頭痛、吐き気、むかつき、だるさ、発汗、食欲不振、腹痛など二日酔いの症状が起こります。
【βカロチン】
生活習慣病予防やアンチエイジング(抗老化)に効くそうです。体に吸収されるとビタミンAに変わり、免疫力をアップし粘膜を強くする働きがあります。強い抗酸化作用で活性酸素を除去します。アルコールによる肝機能障害を予防する働きもあります。
*** 豆知識 ***
β-カロチン? β-カロテン?
英語のつづりはcarotene。従来は「カロチン」と言われることが多かったようです。しかし、学術用語集-化学編での表記は「カロテン」で、「カロチン」は「古い用語として文献などに見られるが、その使用は望ましくない」とされています。また、数年前に改められた政府の「日本食品標準成分表」でも「カロチン」が「カロテン」に変更されました。最近では「カロテン」のほうを使うことが多くなっています。
【不溶性食物繊維】
言わずもがな、お腹の調子を整えてくれます。
【カリウム】
体のほてりを抑えてくれる効能があります。体の中の余分な水分を排出する働きがあるので、 むくみが気になる方には有効です。
また、利尿作用があるためアルコールを排出するのに役だちます。
【ビタミンC・A】
免疫を適切に機能させ、呼吸器の感染抵抗力を強化する,視力低下を防ぎ、目の障害の治療を助ける,皮膚の健康を維持し、皮膚免疫を強化する,骨、髪、歯などを丈夫にする,ニキビ、シワ、皮膚潰瘍治療の補助など、いろいろと良い作用があります。ビタミンCは風邪予防に良いことは、いわずもがなですね。
なぜ干し柿にするのか?
なぜ「干し柿」なのでしょう?渋い柿を食べられるようにするため?それもありますが、それ以外の効用も多いようです。
1)栄養素の変換
上述の通りです。
2)美味しさ
渋柿はタンニンによりとても渋みを感じます。でも実はタンニンが多いというだけで糖分は渋柿の方が多いのです。そのため乾燥してタンニンの渋みを感じなくなる(水溶性から固溶性になる)ことで、甘柿よりもよりとろりとした甘さを感じられ、美味しいものに仕上がるというメリットがあります。干し柿にすることで水分が抜けて糖度が高くなり、甘味は甘柿の約4倍になるともいわれています。
3)保存性
生柿は冷凍しても保存効果はありませんが、干し柿は保存効果があります。冷凍庫に保存することで、新鮮さを保つことができます。水分が少ないのでカチカチになることもなく、冷凍庫から取り出してすぐに食べることができます。
干し柿というと「白い粉のついたもの」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、できたての干し柿は粉をふく前のもので、通(ツウ)の人は粉を吹く前のものを好みます。粉を吹く,色が黒くなる・・・というのは劣化の症状で、新鮮(?)なものは粉をふく前の状態なのです。常温保存すると徐々に粉を吹いて黒く変色していくのですが、冷凍保存することで粉のふかない新鮮な状態を保つことができるのです。
その他の柿の効用
柿渋は体臭・汗臭及びニキビを防ぐ薬用効果があるようです。臭いの原因となる汗、皮脂などの汚れを洗浄し、有効成分が臭いの原因である雑菌の繁殖を防ぎ、気になる臭いの発生を防ぐとか。
体臭が気になる人は柿渋ボディソープを試してみても良いかもしれません。