富山県が独自に行っている「富山県児童生徒思考大会」,小学生(5~6年)の部門に挑戦しました。昨年度の問題で面白いと思ったものは適度に楽しめましたが、今年の最も難しい問題は、まだ納得のいく回答を導けていないような気がします。無理矢理答えを出してみましたが、皆さんはどうでしょうか?
思考大会独特のパターン化の問題です。
まずは1→4,2→12,3→20・・・5→48という数字の並びについて、どんな法則が成り立っているか考えるのですが、簡単ではありません。問1くらいなら問題図に●を書き込んでいって数えることができるでしょう。(力ずくの解答)
問1の解答=84個
問2を解くにはもう一歩、補助的な「何か」が必要です。あれこれ悩んだ末、下図のような式の羅列で考えるのが良いのでは?と思い書いてみました。
手書きでもこれくらいは書けます。これでようやく問2を解くことができました。
問2の解答:160個
しかし、この方法で問3は厳しい。もっと法則性を、わかりやすい式か図に現したいところですが、なかなか難問です。
・・・手書きが大変なのでEXCELでやってみました。m(_ _)m
まずは消灯を無視して、増える点灯数をまとめます。4,12,24・・・と増えていきます。4の倍数になっていそうなので4で割ってみます。すると、1,3,6・・・と意味深な並びに。10で55になることに着目すると、n分後までの数値の合計だと気付きます(数式を使えばnの階乗=n!)。例えば5分後なら1+2+3+4+5=15で15×4=60が点灯する数の合計。
消灯する分は法則がすぐ浮かびません。そこで、単純に表にして計算してみることに。消灯する部分は下図ⅠⅡⅢ・・・として増やしていきます。
下の表の青字部が点灯の増える分,赤字部が消灯する分,
その全ての合計が答えとなります。
よって、問3の解答:1114個を超えるのは28分後
なお、下表右端の合計は全て計算する必要は無く、きりのいいところだけ計算すれば効率的に答えにたどり着けます。
このデータをグラフ化して図示のイメージを示します。小学生なので図形思考で解答を導く,というふうにイメージしたいのですが、ちょっとスッキリしませんね。
消灯するほうを、もう少し公式化してみたいところです。
表の右側に補助表を作ってみました。消灯の合計を4で割った数字は、少しずつ増えていきますが単調増加ではなく指数的に増えています。そこで、増えた量をその右側に計算すると、0,0,1,1,1,2,2,2,3,3・・・と3個毎に1増えるようになっています。これを利用すればn分後をもう少し早く計算できるかもしれません。参考まで。
EXCELを使って計算してみましたが、これをパソコンなしで、電卓なしで(限られた時間内に)解答するのは、私には難しいですね。しかし、この問題の正答率は4.5%だったので、解答できた小学生が何人かいたということです。すごい!と思うしかありません。。
美人女子大生Yunさんの回答
この問題を、美人女子大生のYunさんに解いてもらいましたら、なんと、10分くらいで解いてしまいました。私の身の回りの何人かに問題を出してみたのですが、ほとんどの人がお手上げ状態だったので、その優秀さにとても驚き、同時にとても感心しました。しかし、解答はあくまで地道な加算を繰り返したとのこと。そこで、公式化できるものかやってみてもらいました。少し時間がかかりましたが、見事に数式化できましたので(EXCELでも検証済み)、以下に紹介します。
まずは点灯する全てのランプの個数を求める。(消える分を除く)
nを使った数式にしたい。
1分→4個,2分→2×6個,3分→3×8個,4分→4×10個,5分→5×12個
2ずつ増えている&2の倍数(偶数)
式にすると 2n+2
つまり、点灯する全てのランプの個数をnを使って表すと n(2n+2) = 2n(n+1)
次に消えたランプの個数を求める。
n が 2 より小さい時は消えたランプが 0 なので、n が 3 以上の時を考える。
3回ごとに数字の増え方が変わっている。
→数字の変わるタイミングは 3 の倍数になった時!
3の倍数,3で割ったとき余り1,3で割ったとき余り 2 で場合分けして考える。
① 3の倍数のとき
nが3の倍数の時なので整数mを用いて表すと
n = 3m となり m = n/3 となる。
つまり、mはnを3で割った時の答えと表すことができる。
mが1のとき4,mが2のとき20,mが3のとき48・・・ これを数式で表すと
am = 4, 20, 48 ・・・ となる。
この数列の一般項を求める。
このままでは求められないので数列の各項の差である階差数列を使う。
階差数列を{bm}とすると、
まずbmの一般項を求めると
bm = 16 + ( n – 1 ) ×12 = 12n + 4
求めたbmを使ってamの一般項を求める。
② 3で割ったとき余り1 のとき
③ 3で割ったとき余り2のとき
よって、数式を以下にまとめると、
[1] n < 3 のとき
2n(n+1)
[2] n >= 3 のとき
nを3で割った時の答えをmとすると、
① nが3でわりきれるとき
2n(n+1) – 2m(3m-1)
② nを3で割った時の余りが 1 のとき
2n(n+1) – 2m(3m+1)
③ nを3で割った時の余りが 2 のとき
2n(n+1) – 6m(m+1)